30MM戦記・第四部・12話
FN基地攻略の功績により3日間の特別休暇を与えられた「」は
同僚・少年・少女・D・ねこのキャッツと共に
所属しているFI基地にほど近い町”ソルトカーラ”で休暇を過ごす事にした
一旦「」の借りているアパートで荷物を降ろしそれぞれ別行動をとった
同僚は小隊長の見舞いに
少年と少女は買い物へ
キャッツはアパートで寝ている
「」はシゲじいの店へ向かった
「」「邪魔するぜシゲじい」
シゲ「邪魔するなら帰れ」
「」とシゲじいはいつもの挨拶台詞を交わした
「」「昨日”リサイクル”に出した機体は届いてる?」
シゲ「朝イチにビーグルとセットで来おったんでハンガーに置いてあるぞ」
「」「ビーグル?あー中継基地でバイロンから奪ったやつかな」
「」「・・・あの整備兵サービスいいな…今後も贔屓にしよ」
*リサイクル
機体やそのパーツを横流しする事の隠語
前話で「」は私的に利用する為、整備兵に金を渡し
機体丸ごとシゲじいの店へ横流ししていた
「」「ビーグルの方は…シゲじいの趣味機体制作のパーツにしていいよ」
シゲ「なにっ?!本当か!?あとで返せと言っても返さんぞ」
「」「前にシゲじいの機体を跡形も無く消滅させちゃったから…そのお詫びって事で」
「」「それとシゲじい 今からできる依頼って何かあるかい」
シゲじい「お前さんが休暇中に依頼を受けるなんて珍しいのう」
「」「機体を”リサイクル”するのに結構使っちまってさ…懐が寒いの」
シゲ「いまお前さんに紹介できる依頼は…っと」
シゲ「コンテナ積込・解体工事の手伝い…じゃな」
「」「なんかショボい依頼しかないような…」
シゲ「休暇中の小銭稼ぎならこんなもんで十分じゃろ」
シゲ「どれにするんじゃ?」
「」が選んだ依頼は・・・
1.コンテナの積み込み作業
2.ビル解体工事の手伝い
dice1d2=2 (2)
「」「ビル解体工事の手伝いをするぜ」
シゲ「依頼に関してはこの書類を見るんじゃ」
「」「えーと何々・・・?!工事開始時間まで30分切ってる!」
「」は急いで依頼人の待つ解体現場へ向かった
・・・・・・・
親方「兄ちゃんが俺の依頼を受けたデカマン乗りかい?」
「」「デカマン?何それ」
親方「あんたらが乗ってる人型のロボの事だよ!建設業界じゃそう呼ばれてる」
「」「あぁデカい人だからデカマン…」
親方「いや参ったよ!デカマンの使用申請をうちの奴が出し忘れてな」
親方「このままじゃ納期に間に合わないとこだったわ」
「」「それで俺は何をすればいいんですか?拳でビルを破壊?」
親方「あーダメダメ!それやるとデカマンの不正使用になっちまうから!」
「」「・・・じゃあ何しに呼ばれたんだ俺…?」
親方「あんたには”解体”じゃなくて”手伝い”をしてもらう」
頭にショベルを取り付けたロイロイを持った「」は親方に尋ねた
「」「これ明らかにやっちゃ駄目な作業法では?」
親方「解体作業はロイロイや重機がやってるから問題なし」
「」「…作業員の安全に問題大有りでは?」
親方「あんたがちゃんと持ってれば何も問題なし」
「」「今日もゼロ災で行こうヨシ!」
依頼完了の手続きを終えて「」がアパートに戻った時には日が沈みかけていた
少年「おかえりなさい「」さん」
「」「あれ 同僚や他のみんなは?」
少年「キールさんはこれから酒場に行くって連絡が…」
「」「あーそりゃ朝帰りコースだな」
少年「ローネとDさんは夕飯の買い出しに出かけてます」
「」「ふーん…よし夕飯まではまだ時間があるし遊びに行くか少年よ!」
少年「はい!」
「」が向かったのは・・・なんと博物館だった
少年「ありがとうございます「」さん 実は僕こういう歴史を学べる博物館が好きなんです」
「」「それはよかった(あー入館料が子供半額だったから来た!とは言わない方がいいな)」
博物館に展示されている戦車の前で「」と少年は立ち止まった
少年「そういえば戦車って全然見かけませんけど 昔は主力だったんですよね?」
「」「4年前にバイロンが侵略してくる前は主戦力だったよ」
「」「しかしバイロンのポルタノヴァには戦車の主砲が全く効かなくて…今じゃ博物館かド田舎の基地にしかない」
少年「全く効かなかった…それじゃあバイロン軍とどう戦ったんですか?」
「」「戦わなかったのさ」
「」「トンネルや道路…インフラ設備をぶっ壊しながら後退し続けた」
少年「それって・・・町の人は反対しなかったんですか?」
「」「市民の安全よりも地球の命運を優先する___」
「」「ルインテ方面司令部・総司令官のアナン・K・ファーグ中将が言った言葉だ」
少年「・・・残酷ですね」
「」「そうだね でも打つ手がそれしかなかったから…誰かがそれを実行するしかなかった」
少年「・・・」
「」「実行しなかったらもっと早くバイロン軍がF大陸に進軍してきて」
「」「アルト第2世代の配備が間に合わず地球はバイロンの手に落ちてたかもしれない」
「」「・・・司令部がそういう愚策を実行せずに済むよう 俺のような下っ端は頑張らないといけないんだよ」
少年「___僕も精一杯頑張ります」
こうして博物館を見て回った「」と少年は家へと帰宅した
翌朝「」は少年と少女、Dを連れてシゲじいの工房へ向かった
「」「邪魔するぜシゲじい」
シゲ「邪魔するなら帰れ」
シゲ「ほぉ今日はえらく団体で来たのう職場見学でもさせる気か?」
「」「まあそんなところだ 俺が依頼を受けている間シゲじいの手伝いをさせてやってくれ」
シゲ「何でまたそんな事を」
「」「機体のいじり方を知ってれば いざって時に役に立つからさ」
シゲ「丁度組み上げてる機体の最終調整に人手が欲しかったが…まぁいいじゃろう」
少年「あのシゲさん こういう機体の値段ってどれくらいなんですか?」
「」「安かったら俺が買い取るぜシゲじい!」
シゲ「お前さんそんな大金もっとらんじゃろうが!」
シゲ「そもそも個人で機体を買える奴は少ないぞ」
シゲ「大抵は傭兵団に入るか依頼主の所有してるものを借りるかじゃ」
「」「へーって事は意外と高いのか」
シゲ「ピンキリじゃ レストア必須のジャンクでも500万…まともに動くやつは1000万からじゃ」
シゲ「戦場で使うなら最低2000~3000万クラスは欲しいところじゃな」
「」「そんなに」
シゲ「この前お前さんに貸したゴッシューラは売れば8000万以上の値が付く自信作じゃった・・・」
シゲ「それを・・・跡形も無く・・・」
「」「あーあーその話は置いといて~~~何か依頼はないかシゲじい!」
シゲ「・・・はぁ…いまお前さんに紹介できる依頼は…っと」
シゲ「コンテナ運搬・水没した車の引き上げ…じゃな」
シゲ「どれにするんじゃ?」
「」が選んだ依頼は・・・
1.コンテナの積み込み作業
2.水没した車の引き上げ
dice1d2=2 (2)
「」「水没した車の引き上げをするぜ」
シゲ「依頼に関してはこの書類を見るんじゃ」
「」「ふむふむ…坂道に駐車してた車がサイドブレーキの引きがあまくて落ちちゃったのね」
「」は依頼人の待つ地点へ向かった
・・・・・・
持ち主「待ってたよ 早く引き上げてくれ」
「」「すぐに引き揚げますので しばしお待ちください」
「」は池に入って車の捜索を開始した
しばらくすると・・・
「」が車を持って浮上してきた・・・が
「」「あなたが落としたのは緑の車ですか?茶色の車ですか?」
持ち主「え?緑の車だけど…」
「」「正直者のあなたには緑と茶色の車の両方をプレゼントしましょう」
持ち主「ちょ!いらないよ!ヒィ!?茶色の車に人っぽい何かがあるんですけど!!!???」
「」「ミッションコンプリート」
持ち主「どうしろってんだよこれーーーーーー!!!!!」
「」はその場を後にした
ー昼過ぎー
依頼を終えた「」はシゲじいの工房へ戻ってくると
シゲじいと共に機体をいじっている少年と小さい部品を運ぶ少女が見えた
「」(一生懸命やってるなーどれ俺も手伝うとするか)
「」が少年に声を掛けようとした時
けたたましい警告音が工房内に鳴り響いた
「」「何だこりゃ?!」
シゲ「緊急連絡じゃな…ちぃと席を外すぞ」
ー数分後ー
「」「シゲじいおかえりー結局どんな連絡だったの」
シゲ「どうやら町の北側で所属不明の機体が無断で駐機しとるようじゃ」
「」「所属不明?確か傭兵にも識別信号はあるよな」
シゲ「データベースに登録がなく呼びかけにも応答がないらしい」
「」「・・・イヤ~な予感がする」
シゲ「行くのか?街中じゃ市に許可された者しか武器を持てんぞ」
「」「様子見に行くだけだよ 何かあってもこの町には傭兵がゴロゴロいるしすぐ鎮圧されるでしょ」
少年「僕もロイロイに乗って「」さんについて行きます」
「」「いいけどまず顔を洗ってからね!顔にオイルがついてるぜ少年」
「」と少年は所属不明機体が駐機している地点へ向かった
すると現場にはすでに市の要請を受けた武装した傭兵部隊(3機)が到着していた
傭兵1「周辺住民の避難は済んでいるか?パイロットがヤクチュウ野郎だったら戦闘になるかもしれん」
傭兵2「完了しています 1時間前から周囲400mには避難勧告を出していますからね」
傭兵1「よし…では無駄とは思うが呼びかけてみるか」
傭兵1「道路の真ん中で突っ立ってる奴!今すぐそこをどけ!」
傭兵2「・・・駄目ですね 応答ありません」
傭兵3「パイロットは酒場で酔い潰れて寝てるんじゃない?」
傭兵1「ったくメンドクセエなぁ…通行の邪魔になる 機体を近くのジャンク屋に移動させるぞ」
傭兵たちは応答のない機体を道路から移動させようと近づいた
___その時、所属不明機が突如動き出す
所属不明機は傭兵3を殴り倒すと、馬乗りになって傭兵3を殴り続けた
傭兵2「?!おい止めろ!罰金じゃ済まなくな___」
所属不明機は生身の様な身のこなしで立ち上がり
静止に入ろうとして近づいた傭兵2を蹴り飛ばした
傭兵1「…ッ!?対象はこちらを攻撃!撃破する!」
傭兵1は右手に持ったマシンガンを所属不明機に向けて撃ち込んだ・・・しかし
何発もの弾丸がコクピットに直撃したにも関わらず、装甲には傷一つ付いていない
傭兵3「身持ちが固いわね___ならこいつはどう!?」
マシンガンを食らっている所属不明機に先ほどまで殴られていた傭兵3がナイフを突き立てた
傭兵1「終わったな…超振動ナイフで刺されればどんな装甲だろうが___?!」
傭兵3「刺さらない?!そっそんな事ってあ」
所属不明機は傭兵3から強引にナイフを奪い取ると、傭兵3に深々と突き刺した
傭兵2「よくもやりやがったなカス野郎!!!」
体勢を立て直した傭兵2が強化ライフルを所属不明機に放つが‥‥
傭兵2「くッ来るなっ!来るなぁぁぁ!!!!」
強化ライフルでは所属不明機の装甲を貫く事はできず、傭兵2は傭兵3と同じ末路を辿った
傭兵1「よくも仲間をやりやがったなァァァ!!!」
傭兵1はジェネレーター直結型ビームライフルを所属不明機に放つ
だが…所属不明機の装甲はビームをまるで水のように弾き、逸らした
傭兵1「俺は夢でも見てるのか?有り得ねえだろこんなのよぉ…っ!」
マシンガンを所属不明機に撃ち続ける傭兵1だったが
神に祈りは通じず、迫りくる破滅を退ける事は叶わなかった
「」「・・・来るんじゃなかった」
「」「って言っても…もう遅いか」
所属不明機はゆっくりと「」の方へ振り向いた
「」VS 所属不明機
ダイス左側が「」の数値で右側の数値が所属不明機です
「」の数値が高ければ所属不明機に勝ちますが低いと…?
dice2d100=83 47 (130)
「」は右側へ短くブーストを吹かし、ビルを飛び越えて倒れた傭兵2の強化ライフルを拾う
所属不明機は顔を左腕でガードしながら真っ直ぐに「」に向かっていき____
見事に転んだ
「」「おっと顔を腕で隠して走ったら危ないぜ」
所属不明機の注意を「」が引いている間に少年がワイヤートラップを仕掛けていたのだ
「」は所属不明機のカメラアイに向けて強化ライフルを撃つと
弾丸はカメラアイを貫通し頭部を破壊した
「」「コクピットがある胴体への攻撃は受けるのに顔面はきっちり腕で守ってたから もしやと思ったけど…」
「」「やっぱり弱点だったか」
市街地から数キロほど離れた砂漠に”それ”はいた
「」と所属不明機の勝敗を見届けた”それ”が右手をゆらりと上げると
所属不明機の残骸は一瞬にして細かな砂になったかと思うと煙のように消えた
「」「な?!消えた…?」
「」は残されたナイフをただ呆然と見つめるしかなかった___
「」「休暇が潰れそうで嫌だけど…この件をFI基地に報告するか」
軍の専用回線を使い「」はFI基地と交信を試みた___しかし
「」「こちら「」FI基地応答願う・・・FI基地応答願う!」
「」「・・・応答がない?ジャミング?いや妨害なんてされてないぞ…」
何度呼びかけても応答が返ってこない事に言い知れぬ不安を「」が感じ始めた時
「」の持っている通信端末に連絡が入る
「」「もしもし!」
ジョーンズ「つながった?!「」君今どこ?」
「」「昨日から休暇でFI基地に一番近い町ソルトカーラにいます___何かあったんですか」
ジョーンズ「・・・落ち着いて聞いて欲しい 今F大陸にある全ての連邦軍基地と連絡がつかない」
「」「ジョーンズさんこっちも1つ悪い知らせがあるんですが・・・」
「」は所属不明機に関して一部嘘をついてジョーンズに報告した
ジョーンズ「ライフルもビームも効かない所属不明機…このタイミングで」
ジョーンズ「はぁ…FN基地を奪還して一息つけると思ったけど無理そうだねー」
「」「どう対処します?」
ジョーンズ「とにかく今は情報が足りない 動くのは情報を得て正しく状況を理解できてからだね」
ジョーンズ「こちらが状況を把握できたら連絡するから「」君たちはそのまま町で待機してて」
ジョーンズとの通信を終えた「」は今後どう動くか考えていた
「」(横流し機体に乗ってるなんて言えないから 所属不明機は傭兵が刺し違えて倒した事にしたけど・・・)
「」(ジョーンズさんは俺が機体を持ってない事を前提に待機を命じた気がする)
「」「状況か…FI基地へ行って確かめるのが手っ取り早いな!」
一旦シゲじいの工房へ戻った「」は少年を家に帰らせ
しばらく自機をいじった後、一人でFI基地へ向かった
FI基地の外周に辿り着いた「」は異常を感じ取る
「」「静かすぎる…」
「」「バイロンに襲撃された?・・・にしては建物が破損していないし血痕も死体もない…」
思考を巡らしていた「」の前に、町で見た所属不明機に酷似した機体が出現
それに呼応するかのように建物の陰に隠れていた同型機が続々と姿を現した
しかし「」を攻撃する様子はなく「」は困惑した
「」「え?攻撃してこない?じゃあ何で出て来たの?」
「」が周囲を確認してみると、ある事に気が付いた
「」「あ!ゲートの上にいる機体の手に人が乗ってる!?」
「」「しかも何か喋ってるな…拡声器も持たずに何を話してるんだ?」
「」「というか…武器を持った俺を拘束もせず生身を晒すって・・・」
「」が取った行動は・・・
1.音を拾って手に乗っている人の話を聞いてみる
2.(手に乗っている人を)撃つ
dice1d2=1 (1)
?「我がマクシオン軍は先ほど言った理念に賛同した者たちの・・・」
「」「すいませーん!ちょっと音を拾えなかったので もう一度最初からお願いします」
?「・・・なんたる無礼!しかーし四面楚歌の中…ミスを誤魔化さず申告したその勇気に免じ許そう」
手に乗った男はもう一度最初から話してくれるようだ
?「・・・・という訳だ わかったか?」
「」「ふむふむ…要約するとおじさんの名前はニック・ポール 昨日マクシオン軍にスカウトされた人で」
「」「神に終焉をもたらし人々に真の自由を与える為に活動してて」
「」「乗ってる機体は…神を打倒すべく秘密裏に作られた機体† スピナティオ †」
「」「FI基地はすでにマクシオン軍が制圧した・・・で合ってます?」
ニック「…要約し過ぎな気がするがまあそんなところだ」
ニック「さて降伏すれば命までは取らない それとも私と戦うかね?」
「」「そのスピナティオと一度戦い実力を見たいのですが」
ニック「よかろう!では行くぞ…ッ」
「」「ここじゃやりにくいから場所を変えましょう」
ニック「えっ?あ……ふっいいだろう」
しばらくして「」は透明なパネルで覆われた貯水槽の上で止まった
ニック「ほほう…決闘の場に相応しい場所ではないか それでは」
「」「気に入った?それはよかっ___た!!」
「」は盾に取り付けてもらった(シゲじい作)ワイヤーガンをスピナティオに向け2発発射
ワイヤーはスピナティオの腕と足に絡まり動きを封じた
ニック「なんだとぉ?!卑怯な真似を!・・・ぁどうしよう刀が届かないっ切れないぃぃ」
「」「腕に装着してる刀のマウント解除して手で持てば切れますよ」
ニック「あ…言われてみれば……なんで気が付かなかったんだろう!」
ニックはマウントを解除した____瞬間、「」がすばやく刀をかすめ取ってしまう
「」「こんな業物をくれてありがとう!お礼に海水浴をプレゼント」
「」はプレートをマシンガンで破壊しニックを浄化槽へ沈めた
ニック「手足が縛られてて動かないっっっ!え?!これ飛ぶのってどうやるの?!」
数日前まで一般人のニックは機体の動かし方を熟知しておらず、浄化槽の底へ沈んでいった
「」「いい土産も手に入ったしワイヤーが緩む前に逃げよ」
「」は町へと戻ろうと来た道を戻っていると、入り口が開いている格納庫を見つけた
「」「あの格納庫だけ扉が開いてる…ちょっと確認してみるか」
「」が格納庫に入ると中にはアルトが整備中のまま放置されていた
「」「ここにも人っ子一人いない…みんなどこに連れていかれたんだ?」
「」が考え込んでいると、通信端末に連絡が入る
「」「この妙なタイミングで連絡をしてくるのは・・・」
黒「やあ軍人さん、元気か?」
相手は犯罪組織グルトニーの黒(ヘイ)だった
黒「軍人さん、いまFI基地か?」
「」「・・・相変わらず予言/予知じみた予測だな」
黒「FI基地にいるんだな、ならスピナティオとはもう戦ったか」
「」「戦ったし親切な人が丁寧に状況を説明してくれたから説明は不要だ」
黒「そうか、さすが軍人さん、じゃあ俺から言える事は1つだ」
その時、通話していた「」は格納庫の奥で動く何かを察知した
黒「笠を被ったスピナティオに気を付けろ、戦えば死ぬ」
笠を被ったスピナティオは銃器を持っておらず
武器は腰に差している一振りの刀のみ
鞘は無く、代わりに輪っか状のパーツに刀を通して固定しているようだ
「」は・・・
1.さっきのような素人が乗ってるんだろ?余裕ぅ!(戦う)
2.dat(脱兎)!(逃げる)
dice1d2=2 (2)
笠を被ったスピナティオは「」の機体から数十mほどの場所におり、微動だにしない
「」(このプレッシャー…まるで真夜中の暗い海に落ちたみたいな…得体のしれない静かな怖さだ)
「」(さっきのような素人じゃない・・・)
互いに動かず、相手を見据えていたが・・・
ゆっくりとスピナティオの右手が腰に差した刀の柄に向かう
対する「」は盾を構えつつ、マシンガンを捨ててフルブーストで後退した
笠スピナの繰り出した瞬閃の居合は「」の盾に装着されていた刀に当たり
鮮やかな火花を散らし格納庫を照らした
____「」は幸運であった
もし奪った刀を背中や腰に装着していれば…機体を両断されていたのだから
「」「何だあれ?!スラスターもないのに一瞬で加速した!?」
「」は全速力でその場を離脱した
笠スピナは「」を追おうとはせず
右手に持った刀を腰に差し戻すと格納庫の奥へと姿を消した
辛うじて格納庫から離脱した「」だったが
レーダに映し出される無数の反応を見て発狂寸前であった
「」「笠被りは追ってこない!でもその他大勢押し寄せてキターーーーーー!!!!!」
焦る「」に更なる追い打ちをかけるように推進剤の残量アラームが悲鳴を上げる
「」「マジかよ?!いま推進剤が切れたら終わるぞ…っ」
「」「ここらで安全な場所……高台?…”見張り台”か!」
「」は基地内にある高さ数百メートルの”見張り台”へ向かった
見張り台付近には数体のスピナティオが待ち受けていたが…
「」「さっきの笠被りの斬撃を受けても折れなかったこの業物…もしかしたら」
「」は刀をスピナティオ目掛けて振り下ろすと
弾丸どころかビームすら弾いたスピナティオの装甲を、音も無く切り裂いた
見張り台の壁面をスラスターを吹かして登り切ったものの「」は途方に暮れていた
「」「あとちょっとスラスターを吹かすと推進剤が切れる」
「」「反対に敵さんは減るどころかどんどん集まって来てる…と」
「」「これはもう助からないな 切れるだけ切ってあの世に行くか」
意を決して特攻しようとした時だった
少年「「」さん!無事ですか?!」
「」「少年?!何でこんな所へ?!」
少年「シゲさんから「」さんが機体に乗ってどこかへ出掛けたって聞いて」
少年「そしたらローネがFI基地の方向を指さして…嫌な予感がして急いで来ました!」
「」「ありがたい…」
少年は高度を落とし「」に接近する
少年「「」さん今です!」
「」「うおおお!!!!」
残りの推進剤を使い「」は飛んだ、そして・・・
1.少年の機体の腕を掴んだ
2.あっ…
dice1d2=2 (2)
「」は少年の機体の腕を掴め・・・なかった
「」「あああーーー!!!」
落下する「」をスピナティオが見つめている___
地面に激突寸前に「」は残ったすべての推進剤を使い衝撃を和らげ
その勢いでスピナティオ一体を切り捨て逃走した
・・・だが機動力が低下した「」のアルトでは逃げ切れるはずも無く
「」は取り囲まれてしまう
突如「」の後方にいた3体のスピナティオが何者かの攻撃を頭部に受け爆発
うち2体は頭部を守っていた為無傷だったが、反動で転倒した
少年「掴まってください!」
「」「少年?!可変機だったのそれ!?」
少年「ええシゲさんの自信作みたいです それより急いでここから離脱します!」
・・・・・・・・・
「」を肩に引っ掻けたまま少年は飛行形態に変形
FI基地を離脱しソルトカーラへ向かった
*ここからはストーリーをささっと進めるために戦闘無しの会話中心になります
FI基地からソルトカーラへ逃げ延びた「」と少年はシゲじいの工房にいた
シゲ「また派手に戦ったのう 関節がガタガタじゃ」
「」「手足が付いてるだけ上等だよ…少年が来てくれなかったら死んでたわ」
「」と少年、シゲじいは機体の整備を行い、それが済んだ時には真夜中になっていた
工房の片づけを終えて「」が家に帰ろうとした時、「」の通信端末に連絡が入る
「」「こんな夜中に誰だ」
黒「こんばんは軍人さん、急だが今から会えないか?重要な話がある」
通信してきたのは犯罪組織グルトニーの黒(ヘイ)だった
「」「明日じゃダメ?」
黒「今夜だ、来れば軍人さんは富を得る」
「」「……行く!」
通信を切った「」は黒の連絡に不信感を抱いていた
「」(深夜に犯罪組織の幹部が急に会いたいコール・・・きな臭いな)
「」「少年ー!申し訳ないんだけど今日は寝ないで家で待機しててくれないか」
少年「わかりました___何かまた危険なことをするんですね」
「」「それは相手の出方次第だけど…まあ大体あってる」
ー犯罪組織グルトニー所有ビルー
「」は通信で聞いた会合場所のビル前に車を止めた
構成員1「……これはなんだ」
「」「シカです」
構成員2「ここはガキのバースデー会場じゃねぇぞコラ」
「」「このぬいぐるみがないと俺は素直におしゃべりできないの…」
構成員2「ふざけてんのかテメエ?!」
「」「…俺は黒に招かれた客人だ それを追い返したら…あんたらはどうなるんだろうね」
構成員2「…!?」
構成員1「………会合に必要なんだな?」
構成員1がシカに危険物が隠されていないか確認したが不審な点はなく、ただのシカのぬいぐるみだった
・・・・・・・・・
シカと共に入場を許可された「」は最上階へと向かう
黒「ようこそ、軍人さん、歓迎する」
「」「悪いけど今日は疲れてるんだ 手早く頼む」
「」と黒は精巧な意匠が施されたテーブルに対面で座った
黒「要件は1つ、軍人さんが連れてる銀髪の少女を俺に売れ」
「」「お前…ロリコ___」
黒が手を上げると傍に控えていた部下2人がアタッシュケースを2つ、
テーブルに置きケースを開けた
黒「2億出す、不足か?なら4億、はいと言えば前金で今日2億やる」
「」「?!」
黒の掲示した額はあきらかに異常だった
普通の少女にこれだけの額を出す者などいるはずがない
「」(こいつ…少女がバイロンのお姫様だって知ってやがるな…何を企んでいる?)
「」が黒の意図をはかりかねていると
黒は立ち上がり横の棚から2つのボトルとグラスを持って戻ってきた
黒「幸福のシャンパンか硝煙香る血のワイン…軍人さんはどっちを飲む」
「」(___シャンパンを飲めば交渉成立で金を与え…
ワインを飲めば交渉決裂で鉛球をくれるって訳か)
「」の前に置かれた2つのグラスに注がれたシャンパンとワイン
「」が手に取ったのは・・・
1.幸福のシャンパン
2.硝煙香る血のワイン
dice1d2=1 (1)
「」はシャンパンを手に取り飲み干した
「」「旦那ァ少女は明日おめかしさせてここへ連れてきますよげへへへ…」
黒「明日?いますぐ銀髪の少女をここへ連れてこい」
「」「へへへ…焦っちゃいけません 女の支度は時間が掛かるんですよ」
黒「___軍人さん、そこの窓から外を見てくれ」
「」はシカを抱いて言われた通り窓辺に立ち外を見た
そしてなぜ黒が急にそんなことを言い出したのか理解する
ビルの前に置かれていたコンテナには___スピナティオが格納されていた
黒「いい景色だろう?」
「」「…なんであんな物がここにあるんだ」
黒「軍人さんが知っている俺の顔は、グルトニーの幹部黒(ヘイ)」
黒「軍人さんの知らない俺の顔は___マクシオン軍総皇ヘイロだ」
黒「軍人さんは電話をするだけでいい、
家にいるもうひとりの子供に少女を連れてこさせろ」
「」「……」
「」はポケットに入れていた通信端末で少年に連絡を取った
少年「何かあったんですか「」さん」
「」「もしもし少年?ごめんねこんな時間に電話して」
「」「実は急いでやってもらい事があるんだけどさー」
「」は落ち着きなく窓辺付近を行ったり来たりしながら少年に言った
「」「今すぐ全員叩き起こしてそこから逃げろ!少女が狙われてる!」
少年「え・・!?」
そう少年に告げると「」は窓ガラスを突き破りビルから飛び降りた
「」「ぐぉぉぉ…痛てぇっシカで衝撃を軽減してもクソ痛い!!!」
落下の衝撃でルーフがひしゃげた車に乗り込んだ「」は急いでアクセルを踏んだ
「」が猛スピードでアスファルトをタイヤで切りつけながら
暗闇を走り抜けていると通信端末に連絡が入る
「」「もしもし!」
少年「「」さん!無事ですか?!さっきのは何だったんです?!」
「」「今は無事だがもうこの町には居られなくなった!」
少年「それって…どういう事なんですか」
「」「詳しい話は合流してから話す!シゲじいの工房でまた会おう!」
ーシゲじいの工房ー
「」が工房に辿り着くと同僚・少年・少女・D・ねこのキャッツ全員が揃っており
「」はこれまでの経緯を全員に説明した
同僚「俺が遊んでいる間になんかスゲー事になってね?!」
D「なぜそのヘイロとかいう男は姫様の事を知っていたのだ…」
キャッツ{ローネ(少女の名前)の餓蝕粒子の適応値が高いからだと思うんぬ}
それを聞いた「」はキャッツを物陰に連れて行き、小声で話しかけた
「」「どういう事なのキャッツ!」
キャッツ{ヘイロとかいう男が言った神は恐らく”バイロン”なんぬ…”バイロン”を倒す為に餓蝕粒子を使うつもりなんぬ}
キャッツ{適応値が高ければ餓蝕粒子に蝕まれにくいから粒子を大量に召喚できるんぬ}
キャッツ{それと値が90以上の生物はなんらかの異能を持っているんぬ}
「」「へえー少女はどのくらいの数値なの?」
キャッツ{98なんぬ}
「」「高けぇ!もうちょっとで100じゃないか」
「」「ていうかその数値ってどうやって測定してるの」
キャッツ{感覚で分かるんぬ ちなみにぬは91なんぬ}
「」「キャッツ高けぇ…あ!じゃあ俺はどのくらい?」
キャッツは目を閉じ意識を「」に集中させる
キャッツ{「」の数値は・・・}
dice1d90+10=72 (82)なんぬ
「」「割と高い!」
キャッツ「バイロンに見つかったら即実験体にされる数値なんぬ」
「」「怖(テラー)ぁ・・・」
「」「…『適応値90以下の俺がなぜか最強の異能を持っていた』的なやつだよねこれ!」
キャッツ{ないんぬ}
「」「いやあるね!うおおおおおお!!異能出ろーーー!!!!」
\ ブッ /
キャッツ{ぬあああああ!!臭いんぬうううううううう!!!!!}
「」「むう…くさ異能がでた」
「」「しかし問題はどこに逃げるかだなぁ…」
「」「F大陸に古くから巣食う犯罪組織グルトニーを敵に回した以上…他の町へ行っても捕まるだろうし」
「」「グルトニーの手が伸びて無さそうな所っていうと・・・」
「」「話のわかるジョーンズさんがいるFTJ基地か…」
「」「F大陸のしがらみとは無縁のバイロン軍に投降して保護してもらうか…?」
「」は・・・
1.FTJ基地へ行く
2.バイロン軍のツウィン基地へ行く
dice1d2=1 (1)
「」は全員を集合させると目的地を告げた
「」「これから俺達はFTJ基地に向かう!」
「」「あの基地は多くの機密事項を扱っているため…職員に対して厳格な身辺調査が行われているらしい」
「」「なのでグルトニーのシンパがいる可能性が一番低い場所だと思う」
「」「・・・誰か反対の人はいる?」
反対する者はいなかった事を確認した「」は急いで出発の準備に取り掛かった
同僚「「」ーお前の意見には賛成だけどよぉ 俺が乗る機体ねえんだけど」
「」「FTJ基地に着くまでロイロイで頑張れ」
同僚「おいおいおいマジかよ…」
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束の間の平和は訪れる事無く、新たな動乱が到来した
「」の目指すFTJ基地は安息の地それとも地獄の釜の上なのか
次回へ続く
*最後に今回の生存特典を決めます
シゲ「お前さんの顔も見納めか…餞別代わりじゃ機体を強化してやる」
「」「マジか ヤッター!」
1.シゲじいから武器を貰う
2.シゲじいに装甲取り付けてもらう
3.?!
dice1d3=1 (1)
*「」はシゲじいから武器をもらいました
シゲ「それじゃあな「」 」
「」「サンキューシゲじい!」
30MM戦記12話・終
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