とあるフリー傭兵のお話ー2

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ジリリリリリ!

通信機の着信音が事務所に響き渡る

ああ・・・くそっ・・・うるせえな・・・

はいもしもし・・・はい・・・ええ・・・

___わかりました 引き受けます・・・

30分以内に依頼に関するデータを送ってください・・・

あれ?・・・なんで俺は事務所で寝てたんだ・・・?

‥‥そうだ…俺と相棒は昨日助けたおっさんと朝まで遊んで…

それから…事務所に戻って‥‥そのまま寝ちまったのか?

寝ている相棒を叩き起こした後、

事務所内を探してみたが…おっさんは見つからなかった

黙って出ていくなんて…薄情なおっさんめっ

◇相棒「おーい ちょっとこっちに来てくれー」



何だ?おっさんが見つかったのか

◇相棒「惜しい 見つかったのは荷物の方」

相棒の前にはトランクケースが置かれていた

あっこれ おっさんが常に持ち歩いていたやつ!

◇相棒「手紙が添えられたけど 読む?」

相棒から手渡された手紙の封を切り

俺は相棒にも分かるよう手紙を声に出して読んだ


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まず君たちに礼を言わせて欲しい

助けてくれてありがとう

君たちが助けてくれなかったら

私はあの場で命を落としていた


___厚かましいと思われるだろう

けれども…もう一度、私達を助けてほしい

私には、為さねばならない使命がある

一晩飲み歩いただけだが

君たちが悪い人間では無いと感じ取れた

君たちになら任せられる

‥‥承諾を得ずに

重責を押し付けた形になってしまったが

私は君たちに託したい


___災厄の箱に残った、最後の希望を・・・

                MR

====================



‥‥つまり…どういう事?

◇相棒「さあ?具体的な事が一切書いてないから俺も分からない」

だよね…まあいいか!

とりあえず俺はこの怪しいトランクを開けるぜ!

意を決してトランクケースを開けると___

___そこには眠っている女の子が入っていた


・・・えっ?女の子?・・・なんで?!

◇相棒「‥‥トランクに女の子入れて何がしたかったんだろうね」

・・・・あっもしかしてあのおっさん

この子を誘拐したものの良心の呵責に耐えかねて

俺たちに押し付けたんじゃ…?


◇相棒「んーつまり手紙に書かれた言葉の意味は」 

◇相棒「やるべき使命=仕事行かなきゃ」 

◇相棒「災厄の箱=魔が差してやってしまった子供の誘拐」

◇相棒「最後の希望=俺たちがこの子を親御さんの元に返して、

    おっさんは捕まらない未来ってコト?」

そうそう~~そんな感じっぽい~

・・・あんのぉ変態ロリコン野郎ッッ!どこ行った!!!

◇相棒「実は昨日 念のためにおっさんに発信機を取り付けたんだけど」

さすが相棒!早速追跡しておっさん豚箱にブチ込もうぜ!

◇相棒「___ご丁寧に返却されてた」

相棒は手紙の封筒を拾い、そこから大きさが数ミリ程度の発信機を取り出した

・・・何者だ あのおっさん

◇相棒「少なくとも”ただの変態”じゃないね」



ピロン ピロン ピピー

緊迫した雰囲気に不釣り合いな、

間の抜けた通信機の通知音が事務所に響く


あっいけねえ そろそろ整備屋へ行って依頼の準備しないと

◇相棒「ええー この女の子どうするの」

あのなぁ…今この子を起こしてみろ 

見知らぬ事務所に知らない男が2人…目の前にいるんだぜ?

恐怖でパニックになるだろ

◇相棒「あー確かに怖いねそれは」


だから ”事情を話すからここで待っててね”

って感じのメモを残して 俺たちは依頼へGO!

◇相棒「うーん大丈夫?誘拐の共謀罪で俺たちも豚箱に行かない?」

大丈夫です その時は全力でおあしす!

(おれじゃない あいつがやった しらない すんだ事)


・・・

俺と相棒はいつものように作戦前のミーティングを行っていた

依頼は人身売買の疑いがある施設に警察がガサ入れする為の”周囲の清掃”

施設周辺にはロイロイ、小型量産機の存在が確認されている

保護対象の安全と証拠確保の観点から、施設に攻撃を加えてはならない

施設は町の中にある為、バズーカなどの破壊力のある武器や

貫通力の高い銃器の使用は不可

___っとまあ依頼の概要と注意事項はこんな感じだ


作戦の流れとしては二手に分かれて敵を奇襲する

俺は大通り方面の小型機を

相棒は低空飛行で入り組んだ狭いビル街にいるロイロイを

それぞれ撃破して施設に向かう

敵は無法者 街中だろうが撃ってくると思われるので

可能な限り短時間で敵を殲滅する


◇相棒「しょうがないとはいえ ほぼ銃器禁止って厳しいなー

俺は拳銃使うから何とかなるけどフリーは大丈夫?」


むぅ俺の機体は重装甲大火力…でも心配無用!

機体の装甲や重火器を取り外して近接仕様にしたぜ

それに俺は___


◇相棒「接近戦負け無し」

そういうこと!



____某施設から数百メートル地点____

夜も更け、眠りについた町に

一台の大型運搬車がライトも付けずに走行していた


◆守備隊1「ん?おい!大型運搬車が来るぞ!”商品”の納入か?」

◆守備隊2「”商品”は昨日届いた 妙だな」

◆守備隊2「そこの大型運搬車!今すぐ停車しろ!」


◆守備隊2「よーしいい子だ…あ?通信文?」

? :夜分遅くに申し訳ありません あなた方のボスに献上したい物がありまして:

◆守備隊2「…おい、来客の予定なんてあったか?」

◆守備隊1「そんな連絡は受けてねえ…怪しいなこいつ」

◆守備隊3「なら調べりゃいいんだよ」

? :積み荷は献上品ではありません:

? :なぜなら献上したいものとは:



地獄への片道切符だからなぁ!

小型機は即座に発砲したが

銃弾は分厚い鋼鉄の大剣に阻まれ届かない

フリー傭兵は着地と同時に右脚の関節をロックし

左脚のスラスターを逆噴射を行った

すると機体は反時計回りに回転し、

遠心力を得た大剣の柄は鈍器となりて小型機を襲う


体勢を崩した小型機に、大剣を躱す術はなく___


小型機は2つの鉄塊に分かたれ、宙を舞った


◆守備隊1「__て、敵し」

こちらフリー 予定通り大通りの敵は一掃した 

今なら安全に離陸できるぜ相棒

◇相棒「こちらアーロッド 安全確保ごくろうさま」

◇相棒「それじゃそろそろ行きますかー」


◆守備隊4「大通りの守備隊との連絡が途絶えただって?!」

◆守備隊5「どうする…?もし敵が人型だったらロイロイじゃ分が悪い」

◆守備隊6「そうはいっても、行かなきゃ後で俺たちがボスに殺されるっ!」


___その時、

守備隊のロイロイに搭載されているレーダーが

相棒の機体を補足し警告音を発する


◆守備隊「なんだ?レ」

◇相棒「こちらアーロッド 清掃完了」




こちらフリー 了解し___

◆守備隊7「くたばれ!!!!」

ステルスコートを纏いレーダーを欺いていた小型機が

コートを脱ぎ捨てビルの間から出現

手にしたマシンガンの銃口がフリー傭兵を捉えた

不意を突いた奇襲

フリー傭兵は咄嗟に大剣の柄をビルに突き刺し

移動経路を強引に変えてこれを躱した


フリー傭兵は左腕に装着していた盾の内側から

ヒートアックスを掴み取ると

小型機の胴体めがけて斬りつけた

ヒート武器って切れ味最高だけど

数回使うとダメになるからコスパが‥‥っああああ!


柄でビル壊しちゃった‥‥中に人いなかったし…まあ…いいよね

おれじゃない あいつのせい しらない 済んだ事!


◆売買組織のボス「クソっ!今何時だと思っていやがる!

深夜だぞ?!寝てろよ!」

◆警備1「ボス!早く車へ!」

◆警備2「守備隊!ボスの退避時間を稼げ!」


悪いがここは通行止めだ

◇相棒「こっちも通行止めなんでよろしく」

・・・こうして人身売買を行っていた売人は

付近に控えていた私服警官によって拘束されていった

作戦時間3分未満で

戦闘による町の被害は軽微、

施設の関係者は全員逮捕できたみたいだし

俺たちの仕事はここまでだな


◇相棒「一件落着ってとこだね」

後のことは警察に任せて俺たちは帰るか





事務所に戻ったフリー傭兵と相棒が扉を開けると

出掛ける前に床で寝ていた少女の姿はなかった


あれ?もしかして出て行った?

?「いえ、ここにいます

…待っているだけでは手持ち無沙汰だったので

部屋の掃除を…あっメイド服お借りしました」

(なんか意外と落ち着いてるな… 

まぁ…そっちの方が話が早くて助かるが…)

俺は改めて少女にこれまでの経緯を説明した

?「・・・そうですか MRはわたしを置いて‥‥」

(うん?この雰囲気は…誘拐されたって感じじゃないっぽい?)

(じゃあこの子はあのおっさんの子供? いや全然似てねえな)

(聞くか?…でも触れちゃダメな駄目な話題だったらどうしよう…)


?「___あの、しばらくの間ここで働かせてもらえませんか」

?「‥‥わたしには帰る家も‥‥頼れる知り合いもいません」

?「MRの所在が分かるまで‥‥」

?「いえ、ある程度のお金が貯まるまでの間で構いません」

?「どうかここで働かせてください!お願いします!」

こんな子供を雇ってもな…

でもこのまま放り出すのもちょっと…

俺が女の子の処遇を決めかねていると

相棒が俺に話しかけてきた


◇相棒「この子出来るねーデスクに置いてたPCを使って」

◇相棒「溜まってた提出書類を全部書いてくれたよ」

えっまじで!助かる…あれ書くのすげー面倒だったんだっ!


俺はにこやかな表情を崩さず

携帯端末に文字を入力し

端末を相棒に見える角度に傾けた


___つまり目の前にいる”普通の女の子”が

”ロックが掛かったPC”を解除して

あの書類をミスなく仕上げてくれたって事か


それを見た相棒は俺の背中を指で規則的に小突く

(”普通じゃない” ”けど” ”敵意は” ”なさそう”)

‥‥そうか なら俺の答えは___


奇遇だな こっちも丁度

事務員さんを雇いたいと思ってたところだ


っと自己紹介がまだだった

俺はフーリッツ  フリーと呼んでくれ

横にいるこいつは俺の相棒のアーロッド

歓迎するぜお嬢さん ええっと名前は___


?「っ…ありがとうございます」

◇クーナ「わたしの名前はクーナ どうかよろしくお願いします」

◇相棒「よかったなフリー 彼女候補が出来て」

は?彼女?子供は対象外だぜ!

俺はクーナの頭を撫でながら言葉を続けた


ボッキュボンッ!な悩まし気なボディのお姉さんならともかく

こんな子供に粉かけねえよ!

◇クーナ「・ ・ ・ わたしこれでも18歳なんですが」

え?18歳?そのちんちくりんな悩みのないボディで?

___油断したフリーが

   口を滑らせた___



フリー「ぐああああああ!!!!!!!」

相棒「はははっ 賑やかになりそうだなー」


~とあるフリー傭兵のお話 2話 終 ~